2013年7月17日水曜日

「TAGE FRID」DVD

デンマークから米国に招聘されたTage Frid氏(故人)、その最晩年の製作姿を収めたDVDを購入した。Amazonでの購入だが、英国の業者から送られてきた。

教室を始める前も、始めてからも、彼の本”Tage Frid teaches woodworking"三部作には、絶えずお世話になっている。彼の木工は間違いなく、能率に走るでもなく、かと言って道具にコダワリすぎることもなく、奇抜なデザインではなく実用的ではあるが知性と個性が感じられる、要するに、非常にバランスのよい木工だ。わかりやすい英語で、多数の写真や図面が入り、時にはユーモアを交えた教科書で、実際にお会いしたことはないが、私の心の師匠だと勝手に思っている。

DVDは氏の家を出る時からスタートする。サム・マルーフのビデオでも同じようなシーンがあるが、奥さんとキスしてから、ホンダの車に乗って工房へ出発。製作例は、四方を留めで接合したキャビネットである。櫛型のテンプレートとルーターを使って、サネを入れる溝を多数掘っていくのは本にあるのと全く同じ。次にテーブルソウで小さなサネを作り、一度仮組する。そして、オープンタイムの長い接着剤で本組だ。別シーンのラミネーションでも、Cascamiteという尿素系接着剤を使っている。シックハウスが問題になり、ホルムアルデヒドの有害性が指摘され、この手の接着剤はまず使われなくなったが、接着作業の時間が長くとれ、とても使いやすそうだ。毒性に問題がなければ、使ってみたい。

彼の本を気に入っておられる方は、2千円程度なら買って損はないと思う。DVDでの彼の言動から、予想どおり、気やすく、面白い人であったという印象を受けた。好人物が良い作品を作るとは限らないが、難しい人が作った芸術的作品よりも、彼のような人が作るシンプルでありながら、よく考えられた家具が私は好きだ。

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