私は木工関係で最も早くホームページを開設した方だと思うが、今ではホームページやブログでご自身の作業をオープンにされる木工家さんも大変多くなり、趣味であれプロであれ、多方面の情報を得やすくなっている。大変ありがたいことではあるが、経験や知識不足、あるいは段階を経ないで、その真似をし、大怪我をしなければいいが・・・と心配する。
例えば、大きな板材を手持ちの丸鋸や昇降盤で切断するのは、キックバックの危険がとても大きい。経験豊富な方は、それに対する対処法を知り、危険性を充分知ったうえで作業をしておられるが、これらは簡単に身につくものではない。ルーターも実に危ない道具であるが、アメリカなどの木工雑誌の影響だろうか、ジグ万能という感じで、簡単に加工すると、大変恐ろしい目に会うことがある。
教室では下記のような点を注意しているが、これらは単なる知識では意味がなく、身についている必要がある。正直なところ、怪我をしない程度に危ない事象を経験しないと本当に身につくものではないと思うが、そんなことを言っても始まらないので、羅列してみる。
・長い材を切断する場合、切断の後半でキックバックが起きやすい。電動丸鋸の使用はできるだけ裂ける。ジグソウは比較的安全だが、それでも最後の1~2センチは手鋸で切断する。
・平面の出ていない材をテーブルソウで切断するのは、極めて危険。切断が進行すると、材の内部応力や重力のかかり方が変化し、丸鋸を締め付けたりして危険な状態になる。丸鋸による切断面がコゲている場合は、危険と隣り合わせだったことを意味している。切断面がコゲていて平気なのは無神経の証。
・ルータービットの回転方向と、それによってルーターやトリマ本体がどのような動きをするか、理解しているか?6mm軸のストレートビットで、いきなり10mmもの深さの切削は、折れたりするなど、極めて危険。6mmなら、深さは最大6mm、横方向の切削は直径の3分の1、2mm程度を上限とする。少ない切削量で何度も加工する方が、手間はかかるが、安全で美しく加工できる。
安全面に限らず、深い理解なく、他人の作業を真似をすることには、大きな落とし穴がある。どうしてそのような工程をとられたのか、その理由がわからない場合には、やらない方がよい。ネットの世界は、勘違いしやすい世界でもある。